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三角比の定義

直角三角形の2辺の比に名前をつけたものが三角比です。角度が決まれば比も決まる、という点が出発点になります。

1. 3つの辺の呼び方

注目する角を \(\theta\) とすると、3つの辺はこう呼び分けます。

辺 どこの辺か
斜辺 直角の向かい側にある、いちばん長い辺
対辺 \(\theta\) の向かい側にある辺
隣辺 \(\theta\) に接している、斜辺ではない辺

注目する角が変われば、対辺と隣辺も入れかわる

斜辺は直角の向かいなので変わりませんが、対辺と隣辺は「どの角に注目しているか」で決まります。ここを取り違えるのが、最初のつまずきです。

2. 三角比の定義

三角比

\[\sin\theta=\frac{\text{対辺}}{\text{斜辺}},\qquad \cos\theta=\frac{\text{隣辺}}{\text{斜辺}},\qquad \tan\theta=\frac{\text{対辺}}{\text{隣辺}}\]

それぞれ正弦(サイン)、余弦(コサイン)、正接(タンジェント)と読みます。

覚え方

筆記体の書き順が、分数の「分母 → 分子」の順に対応します。

  • \(s\)(sin)… 斜辺 → 対辺の順になぞる
  • \(c\)(cos)… 斜辺 → 隣辺の順になぞる
  • \(t\)(tan)… 隣辺 → 対辺の順になぞる

いずれも先になぞるほうが分母です。

3. 大きさが変わっても比は変わらない

同じ角をもつ直角三角形は相似です。したがって、三角形を何倍に拡大しても、2辺の比は変わりません。

たとえば \(\theta=30^\circ\) のとき、斜辺をどれだけ大きくしても \(\dfrac{\text{対辺}}{\text{斜辺}}\) は \(0.5\) のままです。

斜辺 対辺 対辺 ÷ 斜辺
\(10\) \(5\) \(0.5\)
\(20\) \(10\) \(0.5\)
\(50\) \(25\) \(0.5\)

だからこそ「\(\sin 30^\circ\)」のように、角度だけで決まる値として扱えます。

この性質を実際に動かして確かめる

4. 覚えておきたい角度の三角比

\(30^\circ,45^\circ,60^\circ\) は、正三角形と正方形を半分にした図から求められます。

\(\theta\) \(\sin\theta\) \(\cos\theta\) \(\tan\theta\)
\(30^\circ\) \(\dfrac12\) \(\dfrac{\sqrt3}{2}\) \(\dfrac{1}{\sqrt3}\)
\(45^\circ\) \(\dfrac{1}{\sqrt2}\) \(\dfrac{1}{\sqrt2}\) \(1\)
\(60^\circ\) \(\dfrac{\sqrt3}{2}\) \(\dfrac12\) \(\sqrt3\)

なぜその値になるか

  • 45°:正方形を対角線で切ると、辺の比が \(1:1:\sqrt2\) の直角三角形。
  • 30°・60°:正三角形を高さで半分にすると、辺の比が \(1:2:\sqrt3\) の直角三角形。
\[\sin30^\circ=\frac{1}{2},\qquad \sin60^\circ=\frac{\sqrt3}{2}\]

表を丸暗記しない

2つの三角形(\(1:1:\sqrt2\) と \(1:2:\sqrt3\))を描ければ、その場で作れます。図を描く習慣をつけたほうが確実です。

5. 辺の長さを求める

三角比が分かっていれば、1辺から他の辺を求められます。

\[\text{対辺}=\text{斜辺}\times\sin\theta,\qquad \text{隣辺}=\text{斜辺}\times\cos\theta\]

例題1

斜辺が \(10\)、\(\theta=30^\circ\) の直角三角形で、対辺と隣辺を求めなさい。

解説
\[\text{対辺}=10\sin30^\circ=10\times\frac12=5\]
\[\text{隣辺}=10\cos30^\circ=10\times\frac{\sqrt3}{2}=5\sqrt3\]

「求めたい辺」と「分かっている辺」の両方を含む三角比を選ぶのがコツです。

例題2

\(\theta=60^\circ\)、隣辺が \(4\) のとき、対辺を求めなさい。

解説

隣辺と対辺の両方を含むのは \(\tan\) です。

\[\tan60^\circ=\frac{\text{対辺}}{4}\quad\Longrightarrow\quad \text{対辺}=4\tan60^\circ=4\sqrt3\]

練習問題

  1. \(\theta=45^\circ\)、斜辺が \(8\) の直角三角形で、対辺と隣辺を求めなさい。
  2. 直角三角形の3辺が \(3,4,5\) のとき、いちばん短い辺の向かいの角を \(\theta\) として、\(\sin\theta,\cos\theta,\tan\theta\) を求めなさい。
  3. \(\theta=30^\circ\)、対辺が \(7\) のとき、斜辺を求めなさい。
  4. \(\tan\theta=1\) のとき、\(\theta\) は何度ですか。
  5. ある直角三角形で \(\sin\theta=\dfrac{5}{13}\) でした。斜辺が \(26\) のとき、対辺を求めなさい。
答えと解説

1. \(\sin45^\circ=\cos45^\circ=\dfrac{1}{\sqrt2}\) なので、

\[\text{対辺}=\text{隣辺}=8\times\frac{1}{\sqrt2}=4\sqrt2\]

45°では対辺と隣辺が等しくなります。

2. いちばん短い辺は \(3\)。その向かいの角を \(\theta\) とすると、対辺 \(=3\)、隣辺 \(=4\)、斜辺 \(=5\)。

\[\sin\theta=\frac35,\quad \cos\theta=\frac45,\quad \tan\theta=\frac34\]

3. \(\sin30^\circ=\dfrac{\text{対辺}}{\text{斜辺}}\) より、

\[\frac12=\frac{7}{\text{斜辺}}\quad\Longrightarrow\quad \text{斜辺}=14\]

4. \(\tan\theta=1\) は対辺と隣辺が等しいということ。よって \(\theta=45^\circ\)。

5. \(\sin\theta=\dfrac{\text{対辺}}{26}=\dfrac{5}{13}\) より、

\[\text{対辺}=26\times\frac{5}{13}=10\]

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