集合と要素¶
「条件を満たすものを、ひとまとめにして考える」— それが集合です。あとで学ぶ命題・場合の数・確率の共通の土台になります。
1. まず用語をそろえる¶
| 用語 | 意味 | 書き方 |
|---|---|---|
| 集合 | 範囲がはっきり決まったものの集まり | \(A\)、\(B\) |
| 要素(元) | 集合に入っている1つ1つのもの | \(2 \in A\) |
| \(\in\) / \(\notin\) | 「要素である」「要素でない」 | \(3 \notin A\) |
| 空集合 | 要素が1つもない集合 | \(\varnothing\) |
| 全体集合 | 考える対象すべての集合 | \(U\) |
「集まり」ならなんでも集合、ではない
「10 以下の自然数の集合」は、入るか入らないかが1つ1つはっきり決まるので集合です。 一方「大きい数の集合」は、\(100\) が入るかどうか人によって変わるので集合ではありません。 数学では境目がはっきりしていることが条件です。
集合の2つの書き方¶
縦棒 \(\mid\) は「〜であるような」と読みます。要素が多いときは条件で書くほうが速く、正確です。
例題1¶
\(A=\{x \mid x \text{ は } 10 \text{ 以下の正の偶数}\}\) を、要素を並べる形で書きなさい。また \(6 \in A\)、\(7 \in A\) の真偽を答えなさい。
解説
\(A=\{2,\,4,\,6,\,8,\,10\}\)
\(6 \in A\) は正しい。\(7\) は偶数ではないので \(7 \notin A\) であり、\(7 \in A\) は誤りです。
2. 部分集合¶
\(A\) の要素がすべて \(B\) の要素でもあるとき、\(A\) は \(B\) の部分集合といい \(A \subset B\) と書きます。
部分集合のきまり
- どんな集合 \(A\) についても \(\varnothing \subset A\)、\(A \subset A\)
- \(A \subset B\) かつ \(B \subset A\) のとき \(A = B\)(要素がまったく同じ)
\(\in\) と \(\subset\) を混ぜない
\(\in\) は「要素と集合」の関係、\(\subset\) は「集合と集合」の関係です。 \(A=\{1,2,3\}\) のとき、\(1 \in A\) は正しく、\(\{1\} \subset A\) も正しい。しかし \(1 \subset A\) や \(\{1\} \in A\) は誤りです。
例題2¶
\(A=\{1,\,2\}\) の部分集合をすべて書きなさい。
解説
\(\varnothing,\ \{1\},\ \{2\},\ \{1,\,2\}\) の 4個。
各要素について「入れる・入れない」の2通りなので、要素が \(n\) 個なら部分集合は \(2^n\) 個です。
3. 共通部分・和集合・補集合¶
| 記号 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| \(A \cap B\) | A かつ B(共通部分) | 両方に入っている要素の集合 |
| \(A \cup B\) | A または B(和集合) | どちらか一方にでも入っている要素の集合 |
| \(\overline{A}\) | A の補集合 | \(U\) の中で \(A\) に入らない要素の集合 |
数学の「または」は片方だけでもよい
日常語の「コーヒーまたは紅茶」は片方だけを選びますが、数学の \(A \cup B\) は 両方に入っているものも含みます。\(A \cap B\) は \(A \cup B\) の一部です。
下のラボで条件 A・B を選び、それぞれの集合がベン図のどこを指すのかを目で確かめましょう。
例題3¶
\(U=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9,10\}\)、\(A=\{x \mid x \text{ は偶数}\}\)、\(B=\{x \mid x \text{ は } 3 \text{ の倍数}\}\) のとき、\(A \cap B\)、\(A \cup B\)、\(\overline{A}\) を求めなさい。
解説
\(A=\{2,4,6,8,10\}\)、\(B=\{3,6,9\}\) をまず書き出します。
\(A \cup B\) は \(6\) を1回だけ数えることに注意します。
4. ド・モルガンの法則¶
ド・モルガンの法則
言葉にすると、こうなります。
- 「A または B」でない = 「A でない」かつ「B でない」
- 「A かつ B」でない = 「A でない」または「B でない」
否定するとき、∩ と ∪ は入れかわる
バーを外側から中へ移すと、\(\cap\) と \(\cup\) がひっくり返る、と覚えます。 上のラボで「A ∪ B の補集合」を選ぶと、2つのベン図が並び、塗られた部分がぴったり一致することを確認できます。 条件をどう変えても一致します。
例題4¶
\(U=\{1,2,\dots,10\}\)、\(A=\{2,4,6,8,10\}\)、\(B=\{3,6,9\}\) のとき、\(\overline{A \cup B}\) を2通りの方法で求めなさい。
解説
方法1(先に和集合) \(A \cup B=\{2,3,4,6,8,9,10\}\) なので \(\overline{A \cup B}=\{1,5,7\}\)。
方法2(ド・モルガン) \(\overline{A}=\{1,3,5,7,9\}\)、\(\overline{B}=\{1,2,4,5,7,8,10\}\) なので
どちらも同じ結果です。要素が多いときは、補集合を先に作るほうが速いことがあります。
5. 要素の個数¶
\(A\) の要素の個数を \(n(A)\) と書きます。
個数の関係
\(n(A)+n(B)\) では、共通部分の要素を2回数えてしまいます。だから1回分を引きます。
例題5¶
\(40\) 人のクラスで、数学が好きな人が \(22\) 人、英語が好きな人が \(18\) 人、両方好きな人が \(7\) 人いました。少なくとも一方が好きな人は何人ですか。また、どちらも好きでない人は何人ですか。
解説
少なくとも一方が好きな人は
どちらも好きでない人は、全体から引いて
後半は \(n(\overline{A \cap B})\) ではなく \(n(\overline{A \cup B})\) であることに注意。ド・モルガンで \(\overline{A} \cap \overline{B}\) と同じ、つまり「数学も英語も好きでない」です。
練習問題¶
- \(A=\{x \mid x \text{ は } 18 \text{ の正の約数}\}\) を、要素を並べる形で書きなさい。
- \(\{2,\,5\}\) の部分集合をすべて書きなさい。
- \(U=\{1,2,\dots,12\}\)、\(A=\{x \mid x \text{ は } 4 \text{ の倍数}\}\)、\(B=\{x \mid x \text{ は } 6 \text{ の倍数}\}\) のとき、\(A \cap B\)、\(A \cup B\)、\(\overline{B}\) を求めなさい。
- 3 と同じ \(U,\,A,\,B\) について、\(\overline{A \cap B}\) と \(\overline{A} \cup \overline{B}\) を求め、一致することを確かめなさい。
- \(A \subset B\) のとき、\(A \cap B\) と \(A \cup B\) はそれぞれどうなりますか。
- \(50\) 人のうち、犬を飼っている人が \(21\) 人、猫を飼っている人が \(17\) 人、両方飼っている人が \(8\) 人。どちらも飼っていない人は何人ですか。
- \(n(A)=15\)、\(n(B)=12\)、\(n(A \cup B)=20\) のとき、\(n(A \cap B)\) を求めなさい。
答えと解説
1. \(A=\{1,\,2,\,3,\,6,\,9,\,18\}\)
2. \(\varnothing,\ \{2\},\ \{5\},\ \{2,\,5\}\) の 4 個。
3. \(A=\{4,8,12\}\)、\(B=\{6,12\}\) より
4. \(\overline{A \cap B}=\overline{\{12\}}\) は \(12\) 以外の全部。 \(\overline{A}=\{1,2,3,5,6,7,9,10,11\}\)、\(\overline{B}=\{1,2,3,4,5,7,8,9,10,11\}\) なので \(\overline{A} \cup \overline{B}\) も \(12\) 以外の全部。一致します。
5. \(A \cap B=A\)、\(A \cup B=B\)。「小さいほうが共通部分、大きいほうが和集合」です。
6. 少なくとも一方は \(21+17-8=30\) 人。どちらも飼っていないのは \(50-30=20\) 人。
7. \(20=15+12-n(A \cap B)\) より \(n(A \cap B)=7\)。
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