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一次不等式

方程式の答えは「点」ですが、不等式の答えは数直線上の「範囲」です。この違いを図で押さえると、二次不等式や場合分けでも迷わなくなります。

1. 言葉と記号

表現 記号 端の数を含む?
\(a\) は \(b\) より大きい \(a>b\) 含まない(白丸)
\(a\) は \(b\) 以上 \(a\geqq b\) 含む(黒丸)
\(a\) は \(b\) 未満(より小さい) \(a<b\) 含まない(白丸)
\(a\) は \(b\) 以下 \(a\leqq b\) 含む(黒丸)

「未満」と「以下」は別物

「\(5\) 未満」に \(5\) は入りませんが、「\(5\) 以下」には \(5\) が入ります。文章題ではここが答えの分かれ目になります。

2. 不等式の性質

不等式の性質

\(a<b\) のとき、

  1. \(a+c<b+c\)、\(a-c<b-c\) … 両辺に同じ数を足しても引いても向きは変わらない
  2. \(c>0\) なら \(ac<bc\)、\(\dfrac{a}{c}<\dfrac{b}{c}\) … 正の数を掛けても割っても向きは変わらない
  3. \(c<0\) なら \(ac>bc\)、\(\dfrac{a}{c}>\dfrac{b}{c}\) … 負の数を掛けたり割ったりすると向きが変わる

なぜ向きが変わるのか

\(2<5\) の両辺に \(-1\) を掛けると \(-2\) と \(-5\)。数直線では \(-5\) のほうが左(小さい)なので、\(-2>-5\) となり、大小が入れかわります。

\[2<5 \quad\xrightarrow{\ \times(-1)\ }\quad -2>-5\]

3. 一次不等式を解く

方程式と同じく「移項 → 両辺を \(x\) の係数で割る」の順です。割る数の符号だけに注意します。

例題1

\(3x-4<5\) を解きなさい。

解説
\[3x<9\quad\Longrightarrow\quad x<3\]

正の数 \(3\) で割ったので、不等号はそのままです。

例題2

\(-2x+1\leqq7\) を解きなさい。

解説
\[-2x\leqq6\]

両辺を \(-2\) で割るので、不等号の向きが変わります。

\[x\geqq-3\]

下のラボで係数 \(a\) を負の値にすると、不等号が反転する様子と解の範囲が同時に確認できます。

分数・小数を含む不等式

両辺を何倍かして整数の式にしてから解きます。掛ける数が正なら向きは変わりません。

\[\frac{x-1}{2}>\frac{x}{3}-1 \quad\xrightarrow{\ \times6\ }\quad 3(x-1)>2x-6\]
\[3x-3>2x-6\quad\Longrightarrow\quad x>-3\]

4. 連立不等式

2つの不等式を同時に満たす範囲を求めます。それぞれ解いてから、数直線で重なりを見ます。

例題3

\[\begin{cases}2x+1>-3\\ 3x-2\leqq 10\end{cases}\]
解説

1つ目: \(2x>-4\) より \(x>-2\)。

2つ目: \(3x\leqq12\) より \(x\leqq4\)。

2つを数直線に書くと、重なるのは \(-2\) と \(4\) の間です。

\[-2<x\leqq4\]

重なりがなければ「解なし」

\(x<-3\) かつ \(x>1\) のように1点も重ならないときは、解なしと答えます。

例題4(整数解の個数)

\[\begin{cases}x-1<2x+3\\ 4x\leqq 2x+9\end{cases}\]

を満たす整数 \(x\) をすべて求めなさい。

解説

1つ目: \(-x<4\) より \(x>-4\)。

2つ目: \(2x\leqq9\) より \(x\leqq\dfrac92=4.5\)。

よって \(-4<x\leqq4.5\)。この範囲の整数は

\[x=-3,-2,-1,0,1,2,3,4 \quad(\text{8個})\]

端の数を含むかどうかで個数が変わります。白丸・黒丸を必ず確認してください。

5. 絶対値を含む方程式・不等式

\(|x-a|\) を「\(x\) と \(a\) の距離」と読むのが最短です。

距離で読む

\(r>0\) のとき、

\[|x|=r \iff x=\pm r\]
\[|x|<r \iff -r<x<r \quad(\text{原点の近く:1つの区間})\]
\[|x|>r \iff x<-r\ \text{または}\ x>r \quad(\text{原点から遠く:2つに分かれる})\]

例題5

\(|x-1|\leqq3\) を解きなさい。

解説

「\(x\) と \(1\) の距離が \(3\) 以下」なので、\(1\) を中心に左右 \(3\) ずつ。

\[-3\leqq x-1\leqq3\quad\Longrightarrow\quad -2\leqq x\leqq4\]

例題6

\(|2x+1|>5\) を解きなさい。

解説
\[2x+1<-5\quad\text{または}\quad 2x+1>5\]
\[2x<-6\ \text{または}\ 2x>4\quad\Longrightarrow\quad x<-3\ \text{または}\ x>2\]

\(>\) のときは2つに分かれるのが特徴です。「または」で結ぶことを忘れないでください。

6. 文章題

例題7

1本 \(120\) 円のペンと \(600\) 円のノートを買います。ペンを何本か買い、ノートを1冊買って、合計金額を \(2000\) 円以下にしたいとき、ペンは最大で何本買えますか。

解説

ペンの本数を \(x\) 本(\(x\) は \(0\) 以上の整数)とすると、

\[120x+600\leqq2000\]
\[120x\leqq1400\quad\Longrightarrow\quad x\leqq\frac{35}{3}=11.66\dots\]

\(x\) は整数なので、最大 11本。

文章題は最後に「整数か」を確認

本数・人数は整数です。不等式の解をそのまま答えにせず、条件に合う最大・最小の整数を答えます。

練習問題

  1. \(5x+2\geqq3x-6\) を解きなさい。
  2. \(-3x+4>13\) を解きなさい。
  3. \(\dfrac{2x-1}{3}\leqq\dfrac{x+2}{2}\) を解きなさい。
  4. 連立不等式 \(\begin{cases}3x-1<x+7\\ 2x+5\geqq x+1\end{cases}\) を解きなさい。
  5. \(|x+2|<6\) を解きなさい。
  6. \(|3-x|\geqq4\) を解きなさい。
  7. 1個 \(80\) 円のみかんを何個かと、\(150\) 円のかごを1つ買って、代金を \(1000\) 円未満にします。みかんは最大何個買えますか。
答えと解説

1. \(2x\geqq-8\) より \(\;x\geqq-4\)

2. \(-3x>9\)。負の数で割るので向きが変わり \(\;x<-3\)

3. 両辺を \(6\) 倍して \(2(2x-1)\leqq3(x+2)\)。

\[4x-2\leqq3x+6\quad\Longrightarrow\quad x\leqq8\]

4. 1つ目は \(2x<8\) より \(x<4\)。2つ目は \(x\geqq-4\)。

\[-4\leqq x<4\]

5. \(x\) と \(-2\) の距離が \(6\) 未満。

\[-6<x+2<6\quad\Longrightarrow\quad -8<x<4\]

6. \(|3-x|=|x-3|\) なので「\(x\) と \(3\) の距離が \(4\) 以上」。

\[x\leqq-1\quad\text{または}\quad x\geqq7\]

7. 個数を \(x\) 個とすると \(80x+150<1000\)。

\[80x<850\quad\Longrightarrow\quad x<10.625\]

整数なので最大 10個。「未満」なので \(10.625\) を含まない点に注意します。

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