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三角形の面積とヘロンの公式

高さが分からなくても、三角形の面積は求められます。2辺と間の角から求める方法と、3辺から求める方法の2つを学びます。

3辺を動かして面積の変化を見る

1. 2辺とその間の角から

三角形の面積

\[S=\frac12bc\sin A=\frac12ca\sin B=\frac12ab\sin C\]

なぜ成り立つのか

小学校で習う面積は \(S=\dfrac12\times\text{底辺}\times\text{高さ}\) でした。

底辺を \(b\) とすると、高さは頂点から底辺に下ろした垂線の長さです。この垂線を \(h\) とすると、直角三角形ができるので、

\[h=c\sin A\]

したがって、

\[S=\frac12\times b\times c\sin A=\frac12bc\sin A\]

「高さ」を三角比で表しただけです。新しい公式というより、書き直しと考えると覚えやすくなります。

角をはさむ2辺を選ぶ

\(\sin A\) を使うなら、かける2辺は角 \(A\) をはさむ \(b\) と \(c\) です。\(a\) を混ぜてしまうのがよくある間違いです。

例題1

\(b=6\)、\(c=10\)、\(A=30^\circ\) の三角形の面積を求めなさい。

解説

角 \(A\) をはさむ2辺は \(b\) と \(c\) です。

\[S=\frac12\times6\times10\times\sin30^\circ=\frac12\times6\times10\times\frac12=15\]

例題2

\(a=8\)、\(b=5\)、\(C=120^\circ\) の三角形の面積を求めなさい。

解説

角 \(C\) をはさむのは \(a\) と \(b\) です。\(\sin120^\circ=\dfrac{\sqrt3}{2}\) に注意します。

\[S=\frac12\times8\times5\times\frac{\sqrt3}{2}=10\sqrt3\]

鈍角でも \(\sin\) は正なので、面積が負になることはありません。

2. ヘロンの公式

3辺の長さだけで面積が求められます。

ヘロンの公式

3辺を \(a,b,c\)、\(s=\dfrac{a+b+c}{2}\)(周の長さの半分)とすると、

\[S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}\]

導き方の筋道

面積公式から出発します。

\[S=\frac12ab\sin C\]

\(\sin^2 C+\cos^2 C=1\) より \(\sin C=\sqrt{1-\cos^2 C}\)。ここに余弦定理

\[\cos C=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}\]

を代入して整理すると、因数分解を経てヘロンの公式が得られます。

角を使わずに面積が出せるのがこの公式の価値です。

例題3

\(a=7\)、\(b=5\)、\(c=8\) の三角形の面積を求めなさい。

解説

まず \(s\) を求めます。

\[s=\frac{7+5+8}{2}=10\]

次にそれぞれの差を求めます。

\[s-a=3,\qquad s-b=5,\qquad s-c=2\]

公式に代入して、

\[S=\sqrt{10\times3\times5\times2}=\sqrt{300}=10\sqrt3\]

例題4

\(a=3\)、\(b=4\)、\(c=5\) の三角形の面積を、2つの方法で求めなさい。

解説

ヘロンの公式で:

\[s=\frac{3+4+5}{2}=6\]
\[S=\sqrt{6\times3\times2\times1}=\sqrt{36}=6\]

面積公式で: \(3^2+4^2=5^2\) なので直角三角形です。\(c\) の向かいの角 \(C=90^\circ\) なので、

\[S=\frac12\times3\times4\times\sin90^\circ=\frac12\times12\times1=6\]

どちらでも同じ値になります。

3. どちらを使うか

分かっているもの 使う公式
2辺とその間の角 \(S=\frac12bc\sin A\)
3辺 ヘロンの公式
3辺(角も求めたい) 余弦定理 → 面積公式

ヘロンは計算が重くなることもある

3辺が \(\sqrt{}\) を含むときは、ヘロンの公式だと計算が煩雑になります。その場合は余弦定理で角を求めてから面積公式を使うほうが速いこともあります。

4. 三角形が作れる条件

3辺を勝手に決めても、三角形になるとは限りません。

三角形の成立条件

いちばん長い辺が、残り2辺の和より短いこと。

\[a+b>c,\qquad b+c>a,\qquad c+a>b\]

たとえば \(a=1\)、\(b=2\)、\(c=9\) では \(1+2<9\) なので、三角形になりません。このときヘロンの公式に入れると \(\sqrt{}\) の中が負になり、計算できなくなります。

練習問題

  1. \(b=8\)、\(c=12\)、\(A=45^\circ\) の三角形の面積を求めなさい。
  2. \(a=6\)、\(b=6\)、\(C=60^\circ\) の三角形の面積を求めなさい。
  3. \(a=5\)、\(b=6\)、\(c=7\) の三角形の面積をヘロンの公式で求めなさい。
  4. \(a=13\)、\(b=14\)、\(c=15\) の三角形の面積を求めなさい。
  5. \(a=2\)、\(b=3\)、\(c=6\) の3辺で三角形は作れますか。理由も答えなさい。
  6. 面積が \(12\)、\(b=6\)、\(c=8\) の三角形で、その間の角 \(A\) を求めなさい。
答えと解説

1. 角 \(A\) をはさむのは \(b\) と \(c\)。

\[S=\frac12\times8\times12\times\sin45^\circ=48\times\frac{1}{\sqrt2}=24\sqrt2\]

2. 角 \(C\) をはさむのは \(a\) と \(b\)。

\[S=\frac12\times6\times6\times\sin60^\circ=18\times\frac{\sqrt3}{2}=9\sqrt3\]

3. \(s=\dfrac{5+6+7}{2}=9\) なので、

\[S=\sqrt{9\times4\times3\times2}=\sqrt{216}=6\sqrt6\]

4. \(s=\dfrac{13+14+15}{2}=21\) なので、

\[S=\sqrt{21\times8\times7\times6}=\sqrt{7056}=84\]

5. 作れません。\(2+3=5<6\) となり、いちばん長い辺が残り2辺の和より長いためです。

6. 面積公式に代入します。

\[12=\frac12\times6\times8\times\sin A=24\sin A\]
\[\sin A=\frac12\]

\(0^\circ<A<180^\circ\) で \(\sin A=\dfrac12\) となるのは、

\[A=30^\circ,\ 150^\circ\]

答えが2つあることに注意しましょう。面積だけでは、鋭角か鈍角かを決められません。

単元のまとめ