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空間図形への応用


この単元のポイント

空間図形で三平方の定理を使うとき、最大の難関は「どこに直角三角形を見つけるか」

空間図形での考え方

立体の中に直角三角形を見つけて、平面の問題に落とし込むのが基本。

手順 1. 求めたい辺(長さ)を斜辺にもつ直角三角形を探す 2. その直角三角形の2辺の長さを求める 3. 三平方の定理で計算する

直角三角形は底面・断面・補助線の中に隠れていることが多い。


基本図形①:直方体の対角線

直方体(箱型)では、2段階で三平方の定理を使う。

なぜ2段階になるのか?

空間対角線 \(d\) を直接求めようとしても、すぐに直角三角形が見えない。 そこで、まず底面で直角三角形を作り、次に垂直方向で直角三角形を作る。

\[ d_1 = \sqrt{a^2 + b^2} \quad \xrightarrow{\text{次に}} \quad d = \sqrt{d_1^2 + h^2} = \sqrt{a^2 + b^2 + h^2} \]

まとめると1本の式でも書ける

\[ d = \sqrt{a^2 + b^2 + h^2} \]

基本図形②:正四角錐(正方形の底面をもつ四角錐)

正四角錐では「頂点から底面に下ろした垂線の足」が底面の中心になる。

重要ポイント:底面の中心から頂点までの距離

底面が1辺 \(a\) の正方形のとき、対角線の長さは \(a\sqrt{2}\)。 中心はその半分の位置なので、中心から底面の頂点までの距離は:

\[ \frac{a\sqrt{2}}{2} \]

この値が分かれば、高さ \(h\) と組み合わせて斜辺(側面の辺)\(l\) が求まる

\[ l = \sqrt{h^2 + \left(\frac{a\sqrt{2}}{2}\right)^2} = \sqrt{h^2 + \frac{a^2}{2}} \]

基本図形③:正三角形の高さと重心

正三角形の頂点から底辺への垂線の足は底辺の中点

1辺 \(a\) の正三角形の高さ:

\[ h = \sqrt{a^2 - \left(\frac{a}{2}\right)^2} = \frac{\sqrt{3}}{2}a \]

重心の位置(正三角錐でよく使う!)

正三角形の重心は、高さを \(\mathbf{2:1}\) に分ける位置にある。

  • 頂点 → 重心の距離 \(= h \times \dfrac{2}{3} = \dfrac{\sqrt{3}}{3}a\)
  • 重心 → 底辺中点の距離 \(= h \times \dfrac{1}{3} = \dfrac{\sqrt{3}}{6}a\)

正三角錐の高さを求めるとき、この「重心→底面の頂点の距離」が直角三角形の底辺になる。


例題

例題1 直方体の対角線

\(3\)、横 \(4\)、高さ \(5\) の直方体の対角線の長さを求めよ。

解答

ステップ① 底面の対角線 \(d_1\) を求める

底面は縦 \(3\)、横 \(4\) の長方形。

\[ d_1 = \sqrt{3^2 + 4^2} = \sqrt{9 + 16} = \sqrt{25} = 5 \]

ステップ② 空間対角線 \(d\) を求める

\(d_1 = 5\)(底面の対角線)と高さ \(5\) で直角三角形を作る。

\[ d = \sqrt{d_1^2 + 5^2} = \sqrt{25 + 25} = \sqrt{50} = 5\sqrt{2} \]

1本の式でも書ける

\[ d = \sqrt{3^2 + 4^2 + 5^2} = \sqrt{9+16+25} = \sqrt{50} = 5\sqrt{2} \]

例題2 正四角錐の高さ

底面が1辺 \(6\) の正方形で、すべての側面の辺()が \(5\) の正四角錐がある。この正四角錐の高さを求めよ。

解答

ステップ① 底面の中心 O から頂点までの距離を求める

底面は1辺 \(6\) の正方形。対角線の長さ \(= 6\sqrt{2}\)。 中心は対角線の中点なので、中心 O から底面の頂点までの距離は:

\[ \frac{6\sqrt{2}}{2} = 3\sqrt{2} \]

ステップ② 三平方の定理で高さ \(h\) を求める

直角三角形の斜辺が \(5\)(稜)、底辺が \(3\sqrt{2}\) なので:

\[ h = \sqrt{5^2 - (3\sqrt{2})^2} = \sqrt{25 - 18} = \sqrt{7} \]

例題3 正四角錐の体積と側面の辺

底面が1辺 \(4\) の正方形で、高さが \(3\) の正四角錐の体積を求めよ。また側面の辺(稜)の長さも求めよ。

解答

体積を求める

四角錐の体積 \(= \dfrac{1}{3} \times\) 底面積 \(\times\) 高さ

\[ V = \frac{1}{3} \times 4^2 \times 3 = \frac{1}{3} \times 16 \times 3 = 16 \]

側面の辺(稜)の長さを求める

底面の中心 O から底面の頂点までの距離:

\[ \frac{4\sqrt{2}}{2} = 2\sqrt{2} \]

三平方の定理より:

\[ l = \sqrt{3^2 + (2\sqrt{2})^2} = \sqrt{9 + 8} = \sqrt{17} \]

例題4 正三角錐(正四面体)の高さ

1辺がすべて \(6\) の正三角錐(正四面体)の高さを求めよ。

重要:正三角形の重心の位置

正三角形の重心は高さの \(\dfrac{2}{3}\) の位置にある。

1辺 \(a\) の正三角形の外接円の半径(重心→頂点)\(= \dfrac{\sqrt{3}}{3}a\)

解答

ステップ① 底面の正三角形の重心 G から頂点 B までの距離を求める

1辺 \(6\) の正三角形の高さ:

\[ \frac{\sqrt{3}}{2} \times 6 = 3\sqrt{3} \]

重心は高さの \(\dfrac{2}{3}\) の位置なので、重心から底面の頂点までの距離:

\[ 3\sqrt{3} \times \frac{2}{3} = 2\sqrt{3} \]

ステップ② 三平方の定理で高さ \(h\) を求める

斜辺が \(6\)(側面の辺)、底辺が \(2\sqrt{3}\) なので:

\[ h = \sqrt{6^2 - (2\sqrt{3})^2} = \sqrt{36 - 12} = \sqrt{24} = 2\sqrt{6} \]

例題5 円錐の高さと体積

底面の半径が \(4\)、母線(側面の斜辺)が \(5\) の円錐がある。高さを求めよ。また体積を求めよ。

解答

円錐を正面から見ると、高さ・半径・母線が直角三角形を作る

\[ h = \sqrt{5^2 - 4^2} = \sqrt{25 - 16} = \sqrt{9} = 3 \]

体積

\[ V = \frac{1}{3} \times \pi r^2 \times h = \frac{1}{3} \times \pi \times 16 \times 3 = 16\pi \]

練習問題

(1)\(2\)、横 \(2\)、高さ \(1\) の直方体の対角線の長さを求めよ。

解答
\[ d = \sqrt{2^2 + 2^2 + 1^2} = \sqrt{4+4+1} = \sqrt{9} = 3 \]

(2)\(1\)、横 \(2\)、高さ \(2\) の直方体の対角線の長さを求めよ。

解答
\[ d = \sqrt{1^2 + 2^2 + 2^2} = \sqrt{1+4+4} = \sqrt{9} = 3 \]

(3) 底面が1辺 \(4\) の正方形で、すべての側面の辺(稜)が \(6\) の正四角錐がある。高さを求めよ。

解答

底面の中心から頂点までの距離(底面の対角線の半分):

\[ \frac{4\sqrt{2}}{2} = 2\sqrt{2} \]

三平方の定理より:

\[ h = \sqrt{6^2 - (2\sqrt{2})^2} = \sqrt{36 - 8} = \sqrt{28} = 2\sqrt{7} \]

(4) 底面の半径が \(3\)、高さが \(4\) の円錐の母線の長さを求めよ。また側面積を求めよ。

解答

母線の長さ \(l\)

\[ l = \sqrt{3^2 + 4^2} = \sqrt{9 + 16} = \sqrt{25} = 5 \]

側面積

\[ S = \pi r l = \pi \times 3 \times 5 = 15\pi \]

(5) 1辺が \(4\) の正四面体(すべての面が正三角形)の高さと体積を求めよ。

解答

ステップ① 底面の正三角形の重心から頂点までの距離

1辺 \(4\) の正三角形の高さ:

\[ \frac{\sqrt{3}}{2} \times 4 = 2\sqrt{3} \]

重心は高さの \(\dfrac{2}{3}\) の位置:

\[ 2\sqrt{3} \times \frac{2}{3} = \frac{4\sqrt{3}}{3} \]

ステップ② 高さを求める

\[ h = \sqrt{4^2 - \left(\frac{4\sqrt{3}}{3}\right)^2} = \sqrt{16 - \frac{48}{9}} = \sqrt{\frac{144-48}{9}} = \sqrt{\frac{96}{9}} = \frac{4\sqrt{6}}{3} \]

体積

底面積 \(= \dfrac{\sqrt{3}}{4} \times 4^2 = 4\sqrt{3}\)

\[ V = \frac{1}{3} \times 4\sqrt{3} \times \frac{4\sqrt{6}}{3} = \frac{16\sqrt{18}}{9} = \frac{16 \times 3\sqrt{2}}{9} = \frac{16\sqrt{2}}{3} \]

(6)(発展) 底面の半径 \(r\)、母線 \(l\) の円錐を、頂点を通り底面に垂直な平面で切ったときの断面積を求めよ。

解答

断面は二等辺三角形になる。

高さ:\(h = \sqrt{l^2 - r^2}\)

底辺:\(2r\)(直径)

断面積:

\[ S = \frac{1}{2} \times 2r \times \sqrt{l^2-r^2} = r\sqrt{l^2-r^2} \]

まとめ

空間図形への応用のポイント

図形 手順 よく使う直角三角形
直方体の対角線 ①底面の対角線 → ②空間対角線 底面の長方形、側面の長方形
正四角錐の高さ・稜 底面中心 → 頂点の距離 \(= \dfrac{a\sqrt{2}}{2}\) 高さ・半対角線・稜
正三角錐(正四面体)の高さ 重心 → 底面の頂点の距離 \(= \dfrac{\sqrt{3}}{3}a\) 高さ・外接円半径・斜辺
円錐 高さ・半径・母線が直角三角形 \(r^2 + h^2 = l^2\)

空間図形でつまずきやすいポイント

  • 「垂線の足」がどこかをまず確認する(底面の中心?辺の中点?)
  • 正四角錐の底面中心から頂点まで → 対角線の半分 \(\dfrac{a\sqrt{2}}{2}\)
  • 正三角形の重心から頂点まで → 高さの \(\dfrac{2}{3}\) \(= \dfrac{\sqrt{3}}{3}a\)
  • 立体は断面に切り落として考えると直角三角形が見えやすい