一次式と分配法則¶
分配法則とは¶
カッコの外にある数を、カッコの中のすべての項にかける操作を分配法則という。
分配法則の基本
カッコ外の数は、カッコ内のすべての項にかかる。 1つの項だけにかけるのは間違い。
正の数をかけるとき¶
整数をかける¶
負の数をかけるとき¶
マイナスをかけると符号が逆になることに注意。
よくある間違い①:符号の変換ミス
\(-2(x - 5)\) の計算で、第2項を \(+(-2)\times(-5)\) と正しく計算できていない例:
| 計算 | 結果 | |
|---|---|---|
| 間違い | \(-2 \times x + (-2) \times 5\) | \(-2x - 10\) ❌ |
| 正しい | \(-2 \times x + (-2) \times (-5)\) | \(-2x + 10\) ✅ |
カッコ内が \(-5\) なので、\((-2) \times (-5) = +10\) になる。 カッコ内の符号を見落とさないこと。
分数をかけるとき(ここが最重要)¶
パターン①:分数 × 一次式¶
計算のコツ
分数 \(\times\) 整数は、約分してから計算すると楽。
\(\dfrac{1}{3} \times 6x = \dfrac{6x}{3} = 2x\)
パターン②:分数の形のカッコ(一番のつまずきポイント)¶
これは \(\dfrac{1}{3}(2x + 4)\) と同じ意味。 分子全体に \(\dfrac{1}{3}\) をかけた形である。
よくある間違い②:分数の割り算で一部の項だけ割る
\((3x - 6) \div 3\) を計算するとき:
| 計算 | 結果 | |
|---|---|---|
| 間違い | \(3x \div 3 - 6\) | \(x - 6\) ❌ |
| 正しい | \(3x \div 3 - 6 \div 3\) | \(x - 2\) ✅ |
割り算もすべての項に適用する。「\(3x\) だけ割って \(6\) は割らない」は絶対にダメ。
パターン③:整数 × 分数の式¶
次のような計算でも分配法則を使う。
整数と分数の組み合わせのコツ
整数を分子にのせて、先に約分してからカッコを展開すると計算しやすい。
パターン④:引き算のカッコ + 分数(最難関)¶
2つのカッコの加減:カッコを外してまとめる¶
複数のカッコがある式では、それぞれ分配法則でカッコを外してから同類項をまとめる。
よくある間違い③:引くカッコの分配法則
\(4(x+3) - 2(3x-1)\) の第2項:
| \(-2(3x-1)\) の展開 | ||
|---|---|---|
| 間違い | \(-6x - 1\) | ❌ \(-1\) の部分を \(-2\) でかけ忘れ |
| 間違い | \(-6x + 1\) | ❌ \(-2 \times (-1) = +2\) なのに \(+1\) に |
| 正しい | \(-6x + 2\) | ✅ \((-2)\times(-1) = +2\) |
引き算のカッコは、中のすべての項の符号が逆になると意識しよう。
分数の係数を含む 2つのカッコの加減¶
よくある間違い④:分数のかけ算でマイナスを見落とす
\(-\dfrac{1}{3}(3x-9)\) の計算:
| 展開 | 結果 | |
|---|---|---|
| 間違い | \(\dfrac{1}{3}(3x-9)\) と符号を落とす | \(x - 3\) ❌ |
| 間違い | \(-\dfrac{1}{3} \times 3x - \dfrac{1}{3} \times 9\) | \(-x - 3\) ❌(第2項の符号ミス) |
| 正しい | \(-\dfrac{1}{3} \times 3x + \left(-\dfrac{1}{3}\right) \times (-9)\) | \(-x + 3\) ✅ |
分数の前のマイナス符号は分数全体についていることを忘れずに。
通分を使った加減(分母が違う分数式)¶
手順: 1. 分母の最小公倍数(ここでは \(6\))を見つける 2. 各分数の分子・分母に同じ数をかけて通分する 3. 分子を展開してまとめる
よくある間違い⑤:通分後の分子展開でカッコを忘れる
通分で \(-\dfrac{x-2}{3}\) を \(-\dfrac{2(x-2)}{6}\) とした後、分子を展開する場面:
| 分子の計算 | 結果 | |
|---|---|---|
| 間違い | \(9x+3 - 2x-4\) | \(7x - 1\) ❌(\(-(x-2)\) を \(-x-2\) とミス) |
| 正しい | \(9x+3 - (2x-4) = 9x+3-2x+4\) | \(7x+7\) ✅ |
\(-\dfrac{2(x-2)}{6}\) の分子は \(-2(x-2) = -2x+4\)。 マイナスがついているので展開後に符号が変わる。
例題¶
例題1 基本の分配法則¶
次の計算をせよ。
解答
(1) \(4 \times 3x + 4 \times (-2) = 12x - 8\)
(2) \((-5) \times 2x + (-5) \times 3 = -10x - 15\)
(3) \((-3) \times (-4x) + (-3) \times (-1) = 12x + 3\)
(3) のポイント
\(-\) どうしのかけ算は \(+\) になる。\((-3)\times(-4x)=+12x\)、\((-3)\times(-1)=+3\)。
例題2 分数をかける分配法則¶
次の計算をせよ。
解答
(1) 各項に \(\dfrac{1}{2}\) をかける(約分できる)。
(2) 各項に \(-\dfrac{2}{3}\) をかける。
(3) 各項に \(\dfrac{3}{4}\) をかける。
例題3 分数の式を割る¶
次の計算をせよ。
解答
(1) すべての項を \(4\) で割る。
(2) すべての項を \(3\) で割る。
(3) すべての項を \((-2)\) で割る(符号が逆になる)。
例題4 整数 × 分数の式¶
次の計算をせよ。
解答
(1) 整数を分子にのせて約分してからカッコを展開。
(2) \(\dfrac{4(2x-1)}{8} = \dfrac{2x-1}{2} = x - \dfrac{1}{2}\)
(3) \(\dfrac{9(x-2)}{3} = 3(x-2) = 3x - 6\)
例題5 2つのカッコの加減¶
次の計算をせよ。
解答
(1) それぞれ展開してからまとめる。
(2) 第2項の展開に注意(\(-3\) をかける)。
(2) の注意
\(-3(x+4) = -3x - 12\)。\(-3 \times 4 = -12\)(負)であることを確認。
例題6 分数を含む 2 つのカッコの加減¶
次の計算をせよ。
解答
それぞれ展開する。
引き算するので:
一次の項が消えた
\(x\) の項が消えて定数だけが残ることがある。これは正しい結果。
例題7 通分が必要な加減¶
次の計算をせよ。
解答
分母の最小公倍数は \(12\)。
分子の引き算に注意
\(- 3(x-3) = -3x + 9\)。引き算のカッコなので中の符号が逆になる。 \(-3 \times (-3) = +9\) を落とさないこと。
間違い探し問題¶
次の計算は間違っている。どこが間違いかを指摘し、正しく計算せよ。
間違い探し①¶
解答・解説
間違い箇所: 第2項の計算
\((-2) \times (-4) = +8\) であるのに、\(-8\) としている。
正しい計算:
間違い探し②¶
解答・解説
間違い箇所: 第1項だけを割っていない(実は第1項の計算もミスしている)
\(5x \div 5 = x\)、\(10 \div 5 = 2\) なのに、\(5x \div 5 = 5x\) としている。
実際は第1項 \(5x\) を \(5\) で割ると \(x\)、第2項 \(10\) を \(5\) で割ると \(2\) なので:
正しい計算:
間違い探し③¶
解答・解説
間違い箇所: 第2項 \(-12\) に \(\dfrac{1}{4}\) をかけていない。
\(-12\) は分配法則により \(\dfrac{1}{4} \times (-12) = -3\) になる。
正しい計算:
間違い探し④¶
解答・解説
間違い箇所: \(-2(x-1)\) の展開ミス。
\((-2) \times (-1) = +2\) であるのに \(-2\) としている。
正しい計算:
間違い探し⑤¶
解答・解説
間違い箇所: 分子の \(-2(x-1)\) の展開ミス。
\(-2(x-1) = -2x + 2\) であるのに \(-2x - 2\) としている。
正しい計算:
練習問題¶
(1) 次の計算をせよ。
解答
(a) \(6x - 24\)
(b) \(-6x - 15\)
(c) \(7x - 14\)
(2) 次の計算をせよ。
解答
(a) \(2x + 3\)
(b) \(-6x + 9\)
(c) \(10x + 15\)
(3) 次の計算をせよ。
解答
(a) \(3x - 2\)
(b) \(-3x - 2\)
(c) \((5x-10) \times \dfrac{2}{5} = 2x - 4\)
(4) 次の計算をせよ。
解答
(a) \(6x + 3 - 2x + 8 = 4x + 11\)
(b) \(-6x + 10 + 4x + 4 = -2x + 14\)
(5) 次の計算をせよ。
解答
(a)
(b)
(6) 次の計算をせよ。
解答
(a) 最小公倍数は \(4\)。
(b) 最小公倍数は \(6\)。
(7)(発展) 次の計算をせよ。
解答
それぞれ分配法則を使う。
引き算するので:
\(\dfrac{4}{3}\) と \(\dfrac{3}{4}\) を通分(最小公倍数は \(12\)):
まとめ¶
分配法則のポイント
| パターン | 計算の仕方 |
|---|---|
| \(a(bx + c)\) | \(abx + ac\)(全項にかける) |
| \(-a(bx + c)\) | \(-abx - ac\)(符号が逆になる) |
| \(-a(bx - c)\) | \(-abx + ac\)(\(-\times- = +\)) |
| \((bx+c) \div a\) | \(\frac{bx}{a} + \frac{c}{a}\)(全項を割る) |
| \(n \times \frac{bx+c}{a}\) | 先に約分、次に展開 |
よくある間違い まとめ
- 一部の項しかかけない・割らない → 全項に適用すること
- \(-a(bx - c)\) で \(-\times- = +\) を忘れる → 符号の計算を丁寧に
- 通分後の分子展開でカッコを外し忘れる → 必ずカッコをつけてから展開
- 前の \(-\) 符号が分数全体につくのを忘れる → \(-\frac{1}{3}(...)\) は全体がマイナス