垂線を利用する作図¶
垂線とは¶
垂線の定義¶
垂線(すいせん) とは、ある直線や線分に対して直角(90°)に交わる直線のこと。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 垂線 | 直線に対して直角に交わる直線 |
| 垂線の足 | 垂線が元の直線と交わる点 |
| 距離 | 点と直線の間の最短距離 = 垂線の長さ |
垂線の重要性
垂線を作図できると、次のことができる:
- 点と直線の距離を求める
- 三角形の高さを作図する
- 垂直二等分線を引く(線分の中点を求める)
- 正方形・長方形などの直角を作る
垂線の作図の基本手順¶
垂線を引くには 2 通り の場面がある。
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| ① 直線上の点から垂線 | 直線 \(\ell\) 上の点 P を通り、\(\ell\) に垂直な直線を引く |
| ② 直線外の点から垂線 | 直線 \(\ell\) の外にある点 P から、\(\ell\) に垂直な直線を引く |
① 直線上の点からの垂線¶
目標¶
直線 \(\ell\) 上の点 P を通り、\(\ell\) に垂直な直線を引く。
用途: 直線上の点に直角を作る・正方形の辺を引く
手順(図で確認)¶
STEP 1:直線 ℓ 上の点 P を用意する
STEP 2:P を中心に円弧を描き、ℓ との交点 C・D をとる(コンパス)
STEP 3:C・D を中心に同じ半径で円弧を描き、上側の交点 Q をとる(コンパス)
STEP 4:P と Q を結ぶ直線を引く(定規) → 完成
なぜ垂線になるか
- PC = PD(P 中心の同じ半径)
- QC = QD(C・D 中心の同じ半径)
P と Q は線分 CD の垂直二等分線上にある。だから PQ ⊥ CD(= ℓ)。
② 直線外の点からの垂線¶
目標¶
直線 \(\ell\) の外にある点 P から、\(\ell\) に垂直な直線を引く。
用途: 点と直線の距離を求める・三角形の高さを作図する
手順(図で確認)¶
STEP 1:P を中心に大きめの円弧を描き、ℓ との交点 C・D をとる(コンパス)
STEP 2:C・D を中心に同じ半径で円弧を描き、ℓ の反対側の交点 Q をとる(コンパス)
STEP 3:P と Q を結ぶ直線を引く(定規) → 完成
なぜ垂線になるか
- PC = PD(P 中心の同じ半径)→ P は線分 CD の垂直二等分線上
- QC = QD(C・D 中心の同じ半径)→ Q も線分 CD の垂直二等分線上
P も Q も CD の垂直二等分線上にあるので、PQ が垂直二等分線 = CD(⊂ ℓ)への垂線。
垂線の応用:三角形の高さ¶
三角形の高さとは¶
三角形 ABC で、頂点 A から辺 BC に引いた垂線の長さが「底辺 BC に対する高さ」。
面積との関係
高さは必ず底辺(またはその延長)への垂線の長さ。
直角が辺の内側にある場合¶
頂点 A が底辺 BC の「真上」にある場合。A から BC への垂線の足 H が BC の内側に落ちる。
直角が辺の外側に落ちる場合(鈍角三角形)¶
頂点 A が底辺 BC の端の外側に位置する場合。垂線の足 H が BC の延長上に落ちる。
鈍角三角形の高さに注意
鈍角三角形では、ある辺を底辺としたとき、垂線の足が辺の外側(延長上)に落ちることがある。
この場合も垂線の引き方は同じ(直線外の点から垂線)。
垂線と距離¶
点と直線の距離¶
点 P から直線 \(\ell\) への距離とは、P から \(\ell\) に引いた垂線の長さ(= PH)のこと。
最短距離
点 P から直線 \(\ell\) 上の点に引いた線分のうち、垂線 PH が最も短い。
これが「点と直線の距離」の定義。
例題¶
例題1 直線上の点からの垂線¶
直線 \(\ell\) 上の点 P を通り、\(\ell\) に垂直な直線を作図せよ。
解答(手順)
- P を中心にコンパスで円弧を描き、\(\ell\) との交点を C、D とする。
- C・D を中心に同じ半径で円弧を描き、交点 Q をとる。
- 直線 PQ を引く。PQ ⊥ ℓ。
例題2 直線外の点からの垂線¶
直線 \(\ell\) の外にある点 P から、\(\ell\) への垂線を作図せよ。
解答(手順)
- P を中心に \(\ell\) と 2点 C、D で交わる円弧を描く。
- C・D を中心に同じ半径で円弧を描き、\(\ell\) の反対側に交点 Q をとる。
- 直線 PQ を引く。\(\ell\) との交点 H が垂線の足。
例題3 三角形の高さの作図¶
△ABC で、底辺 BC に対する高さを作図せよ。
解答(手順)
- 頂点 A から辺 BC(直線)に垂線を引く。
- A を中心に BC と交わる円弧を描き、交点を C'・D' とする。
- C'・D' を中心に同じ半径の円弧を描き、交点 H' をとる。
- AH' を引く。BC との交点 H が垂線の足(高さの足)。
練習問題¶
(1) 次の作図を行い、コンパスの跡を残せ。
(a) 直線 \(\ell\) 上の点 P を通り、\(\ell\) に垂直な直線を作図せよ。
(b) 直線 \(\ell\) の外にある点 P から、\(\ell\) への垂線を作図せよ。
解答のポイント
(a) P 中心 → C・D → C・D から同半径の円弧 → 交点 Q → PQ を引く
(b) P 中心 → C・D → C・D から同半径の円弧(ℓ の反対側)→ 交点 Q → PQ を引く
(2) 鋭角三角形 ABC で、頂点 A から底辺 BC に下ろした垂線の足 H を作図せよ。
解答のポイント
- A は直線 BC の外にある点
- 「直線外の点からの垂線」を使う
- A 中心で BC 上に C'・D' → C'・D' から同半径の円弧 → 交点 Q → AQ を引く → BC との交点が H
(3) 下の図で、点 P と直線 \(\ell\) の距離を求める手順を説明せよ。
解答のポイント
- P から \(\ell\) への垂線を作図し、\(\ell\) との交点を H とする。
- PH の長さをコンパスや定規で測る(測定するだけならコンパスを使う)。
- PH が点 P と直線 \(\ell\) の距離。
(4)(発展) 直線 \(\ell\) と点 P が与えられている。P を通り \(\ell\) に平行な直線を作図する手順を考えよ。
解答のポイント
垂線を2回使う方法:
- 直線 \(\ell\) に垂直な直線 \(m\) を作図する(\(\ell\) 上の適当な点から垂線)。
- 点 P を通り \(m\) に垂直な直線 \(n\) を作図する。
- \(n\) は \(m\) に垂直 → \(n \parallel \ell\)。
まとめ¶
垂線の作図まとめ
| 場面 | コンパスの手順 |
|---|---|
| 直線上の点から | 点中心 → 直線と交点 C・D → C・D から同半径 → 交点 Q → 直線引く |
| 直線外の点から | 点中心 → 直線と交点 C・D → C・D から同半径(反対側)→ 交点 Q → 直線引く |
垂線を使う場面
- 三角形の高さを引く
- 点と直線の距離を求める
- 平行線を作図する(垂線を2回使う)
- 正方形・長方形を作図する