作図の基本¶
作図とは何か¶
道具は「定規」と「コンパス」だけ¶
中学数学の「作図」では、使える道具が決まっている。
| 道具 | できること | できないこと |
|---|---|---|
| 定規(ものさし) | 直線・線分を引く | 長さを測る(目盛りを使ってはいけない) |
| コンパス | 円弧を描く・等しい長さを移す | 角度を測る |
大切なルール
作図では、定規の目盛りや分度器を使って長さや角度を測ることは禁止。
定規は「まっすぐな線を引く道具」、コンパスは「等しい距離をとる道具」として使う。
作図の目標:何を目指すのか¶
作図で目指すのは、次のような正確な図形の構成:
- 垂直二等分線 を引く → 線分をちょうど半分にする点(中点)を求める
- 角の二等分線 を引く → 角をちょうど半分にする直線を引く
- 垂線 を引く → ある点からある直線に対して垂直な線を引く
- 正三角形・正方形 などを作図する
これらはすべて「等しい距離をコンパスでとる」操作の組み合わせで実現できる。
コンパスの基本操作¶
コンパスでできる最も重要な操作は「等しい半径の円弧を描くこと」。
基本作図①:垂直二等分線¶
目標¶
線分 AB の中点を求め、AB に対して垂直な直線を引く。
用途: 2点から等距離にある点を見つける・線分の中点を求める
手順(図で確認)¶
各ステップの完成図を順番に示す。
STEP 1:線分 AB を引く
STEP 2:A を中心に円弧を上下に描く(コンパス)
STEP 3:同じ半径のまま B を中心に円弧を上下に描く(コンパス)
STEP 4:交点 P・Q を求め、直線 PQ を引く(定規) → 完成
垂直二等分線の性質
垂直二等分線上のすべての点は、A と B から等距離にある。
コンパスで同じ半径をとることで「PA = PB」「QA = QB」が保証される。 だから P と Q を結んだ線は必ず AB を垂直に二等分する。
基本作図②:角の二等分線¶
目標¶
角 AOB をちょうど半分にする直線(角の二等分線)を引く。
用途: 角を2等分する・2辺から等距離にある点を求める
STEP 1:角 AOB を用意する
STEP 2:O を中心に円弧を描き、2辺との交点 C・D をとる(コンパス)
STEP 3:C・D を中心に同じ半径で円弧を描き、交点 E をとる(コンパス)
STEP 4:O と E を結ぶ半直線を引く(定規) → 完成
角の二等分線の性質
角の二等分線上のすべての点は、2辺から等距離にある。
- OC = OD(O を中心に同じ半径 → 2辺上に等距離の点)
- CE = DE(C・D を中心に同じ半径 → E は CD の垂直二等分線上)
基本作図③:点を通る垂線¶
③-1 直線上の点からの垂線¶
目標: 直線 \(\ell\) 上の点 P から \(\ell\) に垂直な直線を引く
STEP 1:直線 ℓ 上の点 P を用意する
STEP 2:P を中心に円弧を描き、ℓ との交点 C・D をとる(コンパス)
STEP 3:C・D を中心に同じ半径で円弧を描き、交点 Q をとる(コンパス)
STEP 4:P と Q を結ぶ直線を引く(定規) → 完成
③-2 直線外の点からの垂線¶
目標: 直線 \(\ell\) の外にある点 P から、\(\ell\) に垂直な直線を引く
STEP 1:P を中心に円弧を描き、ℓ との交点 C・D をとる(コンパス)
STEP 2:C・D を中心に同じ半径で円弧を描き、ℓ の反対側(下)の交点 Q をとる(コンパス)
STEP 3:P と Q を結ぶ直線を引く(定規) → 完成
作図の注意事項¶
試験での注意点
- コンパスの跡(円弧)は消さない → 採点者が手順を確認できるようにするため
- 直線は両端まで引く(必要な長さで止めない)
- 「なぜこれで正しいのか」を言葉で説明できるようにしておく
例題¶
例題1 垂直二等分線と中点¶
線分 AB の中点 M を作図せよ。
解答(手順と完成図)
- A を中心に、AB の半分より長い半径で円弧を上下に描く。
- 同じ半径のまま B を中心に円弧を上下に描く。
- 2つの円弧の交点を P、Q とする。
- 直線 PQ を引く。AB との交点が中点 M。
例題2 角の二等分線¶
∠AOB を二等分する半直線を作図せよ。
解答(手順)
- O を中心に円弧を描き、2辺との交点を C、D とする。
- C・D を中心に同じ半径で円弧を描く。
- 2つの円弧の交点を E とする。
- 半直線 OE を引く。OE が角の二等分線。
例題3 直線外の点からの垂線¶
直線 \(\ell\) の外にある点 P から、\(\ell\) への垂線を作図せよ。
解答(手順)
- P を中心に大きめの円弧を描き、直線 ℓ と 2点 C、D で交わらせる。
- C、D を中心に同じ半径で円弧を描き、ℓ の反対側の交点 Q を求める。
- P と Q を結ぶ直線を引く。ℓ との交点 H が垂線の足。
例題4 正三角形の作図¶
線分 AB を1辺とする正三角形を作図せよ。
解答(手順と完成図)
正三角形の3辺はすべて等しいので、AB と同じ長さを半径としてコンパスを使う。
- A を中心に半径 AB の円弧を描く。
- B を中心に半径 AB の円弧を描く。
- 2つの円弧の交点が頂点 C。
- A と C、B と C を定規で結ぶ。
なぜ正三角形になるか: A 中心の円弧上 → AC = AB。B 中心の円弧上 → BC = AB。よって AB = AC = BC。
練習問題¶
(1) 次の作図を行い、コンパスの跡(円弧)を残せ。
(a) 線分 AB(長さ 6 cm)の垂直二等分線を作図せよ。
(b) 60° の角 ∠AOB の二等分線を作図せよ。
解答のポイント
(a) A、B から同じ半径(AB の半分より長く)で円弧→ 2交点を結ぶ
(b) O 中心で2辺の交点 C、D → C・D 中心で同半径の円弧 → 交点 E → OE が二等分線(30°)
(2) 直線 \(\ell\) 上の点 P を通る垂線を作図せよ。
解答のポイント
- P 中心で ℓ 上の C、D をとる
- C・D 中心で同半径の円弧 → 交点 Q
- PQ を引く(P が垂線の足)
(3) △ABC の頂点 A から辺 BC への垂線(高さ)を作図せよ。
解答のポイント
「直線 BC の外にある点 A からの垂線」を作図する。
- A 中心で BC と 2点 C'、D' で交わる円弧を描く
- C'、D' 中心で同半径の円弧 → BC の反対側の交点 Q
- AQ を引く(BC との交点 H が垂線の足)
(4)(発展) 線分 AB を1辺とする正方形 ABCD を作図する手順を説明せよ。
解答のポイント
- A で AB に垂直な直線を作図する
- B で AB に垂直な直線を作図する
- A 側の垂線上にコンパスで AB と等しい長さの点 D をとる
- B 側の垂線上に同様に点 C をとる
- D と C を結ぶ → ABCD が正方形
まとめ¶
作図の3大基本
| 作図 | 目的 | コンパスの使い方 |
|---|---|---|
| 垂直二等分線 | 中点を求める・等距離の点の軌跡 | A・B から同じ半径で円弧 |
| 角の二等分線 | 角を半分にする・2辺から等距離の点 | 頂点から→2交点から同じ半径 |
| 垂線 | 直角を作る・距離を求める | 点を中心に円弧→2交点から同じ半径 |
作図問題を解くコツ
- 何が求めたいのかを明確にする(中点?垂直?二等分?)
- 上の3つの基本のどれを使うか考える
- 手順どおりに作図し、コンパスの跡を消さない
- 「なぜこれで正しいか」を言葉で説明できるようにする