比の値と比例式¶
比とは何か(小学校の復習)¶
比とは
2つの数量の割合関係を「\(a : b\)」の形で表したものを比(ひ)という。
身近な例: オレンジジュースを作るとき、原液 \(1\) に対して水 \(3\) を加える。
これを 「原液:水 \(= 1 : 3\)」 と書く。
この比が表しているのは「原液の量が水の量の \(\dfrac{1}{3}\) 倍」という割合の関係であって、 実際の量(mL)ではない点がポイント。
等しい比(同値の比)
比の両方の数に同じ数をかけても、同じ数で割っても、比の値は変わらない。
最も小さい整数の比に直すことを「最も簡単な比にする」という。
比の値¶
比の値(ひのあたい)とは
比 \(a : b\) において、\(a \div b = \dfrac{a}{b}\) を比の値という。
例:
| 比 | 比の値 |
|---|---|
| \(1 : 2\) | \(\dfrac{1}{2}\) |
| \(3 : 4\) | \(\dfrac{3}{4}\) |
| \(6 : 3\) | \(\dfrac{6}{3} = 2\) |
| \(2 : 5\) | \(\dfrac{2}{5}\) |
比の値が等しい ⟺ 比が等しい
\(a:b\) と \(c:d\) の比の値が等しい(\(\dfrac{a}{b} = \dfrac{c}{d}\))とき、\(a:b = c:d\)。
比例式とは¶
比例式(ひれいしき)とは
2つの比が等しいことを表した式を比例式という。
これを「\(a\) 対 \(b\) は \(c\) 対 \(d\) に等しい(比例する)」と読む。
例: \(2 : 3 = 4 : 6\) や \(x : 5 = 3 : 10\) など、\(x\) が含まれれば方程式として解ける。
比例式の性質(内項の積 = 外項の積)¶
比例式 \(a : b = c : d\) において、次の性質が成り立つ。
なぜ「外項の積 = 内項の積」になるのか¶
比の値が等しいので:
両辺に \(bd\) をかけると:
比例式の解き方
外項の積 \(=\) 内項の積 より:
比を使って量を分ける¶
比で量を分ける(内分)
全体の量を比 \(a : b\) に分けるとき:
例: \(240\) mL を \(1 : 3\) に分ける
例題¶
例題1 比の値を求める¶
次の比の値を求めよ。
解答
(1) \(\dfrac{3}{4}\)
(2) \(\dfrac{8}{6} = \dfrac{4}{3}\)
(3) \(\dfrac{5}{2}\)
例題2 等しい比に直す¶
次の比を最も簡単な整数の比にせよ。
解答
(1) 最大公約数 \(3\) で割る:\(6 : 9 = 2 : 3\)
(2) 両辺に \(10\) をかけて整数にする:\(4 : 6 = 2 : 3\)
(3) 両辺に分母の最小公倍数 \(6\) をかける:\(3 : 4\)
小数・分数の比の処理
- 小数の比 → 両辺に \(10, 100, \ldots\) をかけて整数に
- 分数の比 → 両辺に分母の最小公倍数をかけて整数に
例題3 比例式を解く(基本)¶
次の比例式を解け。
解答
(1) 外項の積 \(=\) 内項の積:
確認:\(6:4 = 3:2\) → 比の値どちらも \(\dfrac{3}{2}\) ✅
(2)
(3)
例題4 比例式を解く(式が含まれる)¶
次の比例式を解け。
解答
(1) 外項の積 \(=\) 内項の積:
(2)
確認:\(5 : (5-2) = 5 : 3\) ✅
例題5 比を使って分ける(文章題)¶
(1) \(540\) 円を姉と妹で \(4 : 5\) に分けると、それぞれいくらか。
(2) 長さ \(72\) cm のリボンを \(3 : 5\) に切ると、それぞれ何 cm か。
解答
(1) 合計の比は \(4 + 5 = 9\)。
姉:\(540 \times \dfrac{4}{9} = 240\) 円
妹:\(540 \times \dfrac{5}{9} = 300\) 円
確認:\(240 + 300 = 540\) ✅、\(240 : 300 = 4 : 5\) ✅
(2)
短い方:\(72 \times \dfrac{3}{8} = 27\) cm
長い方:\(72 \times \dfrac{5}{8} = 45\) cm
例題6 比例式を使った文章題¶
地図上で \(A\)、\(B\) 間の距離は \(4\) cm で、実際の距離は \(2400\) m である。同じ地図で \(C\)、\(D\) 間の距離が \(7\) cm のとき、実際の \(CD\) 間の距離を求めよ。
解答
地図の距離:実際の距離 \(= 4 : 2400 = 1 : 600\)
\(CD\) 間の実際の距離を \(x\) m とおくと:
外項の積 \(=\) 内項の積:
実際の \(CD\) 間の距離は \(4200\) m(\(= 4.2\) km)。
例題7 連比(3つの比)¶
\(A : B = 2 : 3\)、\(B : C = 4 : 5\) のとき、\(A : B : C\) を求めよ。
解答
\(B\) の値をそろえる。\(3\) と \(4\) の最小公倍数は \(12\)。
練習問題¶
(1) 次の比の値を求めよ。
解答
(a) \(\dfrac{5}{8}\) (b) \(\dfrac{12}{9} = \dfrac{4}{3}\) (c) \(\dfrac{7}{7} = 1\)
(2) 次の比を最も簡単な整数の比にせよ。
解答
(a) 最大公約数 \(5\) で割る:\(3 : 2\)
(b) \(10\) 倍して \(6 : 14\)、さらに \(2\) で割って \(3 : 7\)
(c) 分母の最小公倍数 \(12\) をかける:\(9 : 10\)
(3) 次の比例式を解け。
解答
(a) \(3x = 30 \implies x = 10\)
(b) \(4 \times 9 = 6x \implies 36 = 6x \implies x = 6\)
(c) \(1.2x = 0.5 \times 3.6 = 1.8 \implies x = 1.5\)
(4) 次の比例式を解け。
解答
(a)
(b)
確認:\((5+3):(5-1) = 8:4 = 2:1\)、\(4:2 = 2:1\) ✅
(5) \(720\) 円を A、B、C の3人で \(2 : 3 : 4\) に分ける。それぞれいくらか。
解答
合計の比 \(2+3+4 = 9\)。
A:\(720 \times \dfrac{2}{9} = 160\) 円
B:\(720 \times \dfrac{3}{9} = 240\) 円
C:\(720 \times \dfrac{4}{9} = 320\) 円
確認:\(160 + 240 + 320 = 720\) ✅
(6) 縮尺 \(\dfrac{1}{25000}\) の地図がある。地図上で \(3\) cm の道のりの実際の距離は何 m か。また、実際の距離 \(1.5\) km は地図上で何 cm か。
解答
地図 \(1\) cm \(=\) 実際 \(25000\) cm \(= 250\) m。
地図 \(3\) cm の実際の距離:
実際 \(1.5\) km の地図上の距離:
\(1.5\) km \(= 150000\) cm
(7) ある学校の男子と女子の比は \(5 : 4\) で、男子は女子より \(45\) 人多い。全校生徒は何人か。
解答
女子を \(x\) 人とすると、男子は \(x + 45\) 人。
女子 \(180\) 人、男子 \(225\) 人、全校 \(405\) 人。
確認:\(225 : 180 = 5 : 4\) ✅
(8)(発展) \(A : B = 3 : 5\)、\(A : C = 2 : 3\) のとき、\(A : B : C\) を求めよ。また、\(A + B + C = 93\) のとき、それぞれの値を求めよ。
解答
\(A\) の値をそろえる。 \(3\) と \(2\) の最小公倍数は \(6\)。
それぞれの値: 合計の比 \(6+10+9 = 25\)。
…となり整数にならないため、\(A+B+C = 50\) のとき:
合計が比の合計の倍数でないと整数にならない
\(A:B:C = 6:10:9\) の場合、合計は \(25\) の倍数(\(25, 50, 75, \ldots\))のときに整数になる。
まとめ¶
比・比の値・比例式のポイント
| 内容 | 定義・公式 |
|---|---|
| 比 | 2つの量の割合関係 \(a:b\) |
| 等しい比 | 両辺を同じ数でかけても割っても変わらない |
| 比の値 | \(a:b\) の比の値 \(= \dfrac{a}{b}\) |
| 比例式 | \(a:b = c:d\) (2つの比が等しい式) |
| 外項の積 = 内項の積 | \(a:b = c:d \Rightarrow ad = bc\) |
| 比で量を分ける | 全体 \(\times \dfrac{a}{a+b}\)、全体 \(\times \dfrac{b}{a+b}\) |
| 連比 | 共通する量をそろえて3つの比を結合する |
よくある間違い
- 比の値と比の混同:\(2:3\) の比の値は \(\dfrac{2}{3}\) であって、\(\dfrac{3}{2}\) ではない
- 外項・内項を取り違える:\(a:b = c:d\) で「外項は \(a\) と \(d\)」「内項は \(b\) と \(c\)」
- 量を比に分けるとき、合計の比を足し忘れる:\(3:5\) に分けるなら分母は \(3+5=8\)
- 連比で共通部分の最小公倍数をとらずに単純にくっつける:\(A:B=2:3\)、\(B:C=3:5\) なら \(A:B:C=2:3:5\) でよいが、\(B:C=4:5\) なら \(B\) をそろえる必要がある